電子と軌道について
こんにちは。
今日は電子と軌道について、お話します。
皆さんは、原子の中の電子の位置について、どんなイメージを持っていますか?
陽子と中性子がいる原子核を中心に、その周りを回っているようなそんな構造ではないでしょうか?太陽系が近い形だと思います。
高校で習う範囲においては、電荷の考え方などを理解するために、この形はイメージしやすいものなのですが、実際には正しくありません。大学では、このイメージとは関係なく習っていくため、高校と大学の知識には差が生まれてしまいます。
原子について、より理解するために①電子の位置(軌道)、②電荷の考え方、③電子のエネルギーの3つから考えていきましょう。
今回は、①電子の位置(軌道)についてです。
もし、太陽系のイメージで、内側から電子が収まっているとすると、電子の数が増えていくごとに外側に電子が増えていき、原子のサイズは大きくなってしまうことになります。
ですが、そのような事はなく、原子の大きさはほぼ変わりません。では、どのような形で電子は原子の中に収まっているのでしょうか。答えは下の図になります。太陽系のように原子核の周りを回っているのではなく、それぞれに決まった部屋があるのです。
この電子の部屋には、s軌道、p軌道という部屋の名前があります。また、電子配置には、この軌道(電子の部屋)ごとに、いくつ電子が入っているか、がわかるようにした書き方もあります。
例:Na 1s2 2s2 2p6 3s1
このように、電子が存在する場所は、一様ではなく、偏りがあるものになります。
ここでは電子の位置が太陽系のイメージではないと言うことを覚えておいてくださいね。
次回は、電荷の考え方についてお話しします。
引用文献
※1 シュライバー・アトキンス 無機化学 東京化学同人出版
著者:Peter Atkins、Tina Overton、Jonathan Rourke、Mark Weller、Fraser Armstrong
訳者:田中勝久、平尾一之、北川進